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2025.12.25 グラヴィール

ガラス器に繊細な彫刻を施す技法「グラヴィール」 制作手順と学生作品をご紹介!

グラヴィールとは

伝統的な彫刻技法として今日に受け継がれている

「グラヴィール」という言葉は彫刻一般を意味しますが、ガラス工芸においては回転する銅盤を使った彫刻技法を指します。

中央の茶色い円盤が、グラヴィールに使われる銅盤

グラヴィールは英語では「ホイール・エングレーヴィング(=円盤彫刻)」とも呼ばれています。

切子との違いは?

どちらも、回転する刃を用いてガラスの表面を彫刻する点では似ていますが、
・切子では刃の上からガラスを当て、グラヴィールでは刃の下からガラスを当てる。
・切子は中央が山形になった刃を食い込ませるように真っ直ぐ彫り、グラヴィールは厚さ数ミリ程度の円盤に、ガラスを左右上下斜めと色々な方向に当てて彫る。
・切子は幾何学模様を彫るのが主で、グラヴィールは動植物などの有機的なものを彫るのが主。
などの違いがあります。

授業はどんな内容?

東京ガラスのグラヴィール授業では、基礎から応用までを3週間程度で習得します。

授業のはじめは機械の使い方や研磨剤の作り方、ガラスを当てる姿勢などの基礎を学び、直径1㎝程度の丸をきれいに彫る練習を進めます。それを経てある程度彫り方が身についてきたら、自由作品を一点制作し、「デザイン→彫り→磨き」の工程を学びます。授業最終日には講評会を行い、先生から評価を受けたり、他の学生と意見交換をしたりします。

グラヴィール講師紹介はこちら 後閑 博明 | 東京ガラス工芸研究所

基礎練習:丸をひたすら彫る!

先生のデモンストレーションを一部抜粋しました。

銅盤に研磨剤を付ける

マーカーで下書きをする

銅盤の斜め下からガラスを当てる

手首や指先を協働させ左右に振ることできれいな丸を作る

あっという間に丸が完成

学生の彫った丸

コップを埋め尽くすまで練習してやっと勝手がわかってくるほど、高度なコントロールが必要。

最初は当て方や砂の量を間違えて、細長い傷になってしまうことも。

同学生のコップの下の方を見ると、ちゃんと上達して丸の成功率が上がっていました!

自由制作

丸を彫ることで得られた基礎的な彫り方を基に、銅盤の角を斜めに当てたり、厚い銅盤・薄い銅盤を使い分けて彫ったりなどして、多くのパターンの印影を生み出します。

完成作品

夜桜のグラス(総合基礎科)

夜桜らしく青い器を選んだそう。グラヴィールらしい要素を多数入れ込んでいると先生からの評価も高かったです。

気泡をあしらったグラス(総合基礎科)

気泡の出どころは唇やフルーツです。具象的でなく、心象風景を彫っても面白いねと先生からのコメントが。一方気泡と物のツヤ感を出した方がいいとの指摘も。

新芽が出てきている様子を彫った卵型のオブジェ(総合基礎科)

板ガラス造形の積層技法を用いています。真ん中に位置した板ガラスにグラヴィールを施しました。

天の川のグラス(夜間基礎科2年生)

6~7回、彫って磨いてを繰り返したそうです。

いちごのボウルとぶどうのコップ(夜間基礎科2年生)

ぶどうはなんと下絵なしで彫ったそうです。

船のビールグラス(夜間基礎科2年生)

帆のふわふわっとした感じ、ポコポコした感じ、波の凹凸などを特に意識したそう。帆の風をはらんだ様子が先生からも高評価。

鳥や花をあしらたランプシェード(夜間基礎科1年生)

グラヴィールとサンドブラストを組み合わせて手書き風の彫刻にしました。

民族模様を意識したプレート(夜間基礎科1年生)

真ん中の太陽はサンドブラスト、周りはグラヴィール。グラヴィールのゆらぎが味を出しています。

虫歯のグラス(夜間基礎科2年生)

ガラスの虫歯の作品を作ることを在学中のテーマにしている学生です。

最後に

以上、今年の学生のグラヴィール作品でした!これからも色々なグラヴィール作品を生み出してください。

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